作曲をやるために楽譜は読めた方がいい?

「作曲」というと、どうしても「ピアノ」とか「楽譜」とか、そちら側の西洋音楽的な雰囲気をイメージしてしまう人も多いはず。

では、ポップスの作曲において「楽譜が読める」という技術は必須なのでしょうか。

ポピュラー音楽の表現方法は「コード」

「五線譜」ではなく「コード譜」

現在ポピュラー音楽として「ボーカルのある曲」が世の中で広く一般的に親しまれています。

では「それらを作る場合に楽譜が必要になるのか?」と言われると、答えは「五線譜が無くても作れる」となります。

より正確に言えば、ボーカル曲の作曲においてアイディアを「五線譜」に書き起こしながら作業を進める人は圧倒的に少ないでしょう。

では、みんなは何を使って音楽を作り記録しているのか?というと、それは「コード譜」です。

ほとんどの人は、楽譜=「五線譜」ではなく、「コード譜」の形を使ってアイディアを記録をしながら曲を作っているのです。

そのような意味から、ポップス・ロック等の作曲においては「コード譜が読める・演奏できる・書ける」という技能が必要になります

「五線譜が読める」という技能はそれほど必要ではなく、むしろそれが出来ずにプロになっているミュージシャンも沢山いるくらいです。

コード譜とは

では、前述の「コード譜」とは何かというと、これは「音の重なりや前後のつながりを表したもの」という意味を持ちます。

既に知っている人も多いかと思いますが、コードは七個のアルファベットにシャープ・フラットなどの変化記号、メジャーやマイナー、セブンス・シックスなどが付加されて表記されます。

「C」とか「D」とか「F#m7」とか、そういったものですね。

これらを「コードネーム」などと呼んだりします。

それぞれは「どんな構成音を持つか」ということや、「その中で土台となる音は何か」というようなことを意味します。

例えば「Am」という表記を見れば「ラ・ド・ミ」の三つを重ねて「ラ」の音を土台とした和音、ということがすぐにわかるのです。

これを音楽を知らない人が見たら、単なる「アルファベット大文字のA」と「アルファベット小文字のm」に見えるはずです。

初心者の時点では、コード表記は一つの暗号みたいなもので、楽器における「コードフォーム」に置き換えてそれを丸暗記することで対応することができます。

そして、通常コード譜ではこれらの表記が左から右に向って順番に並べられ、「〇〇を弾いたら次に〇〇を弾く」という、コードの演奏順が示されます。

コード譜の必要性

コード譜を使った作業

作曲をしていて、例えば「一番初めに『C』を鳴らして、次に『Am』を鳴らして…」と曲作る場合、メモとして「C → Am」というように記載することができます。

これが「コード譜に書いて記録する」ということです。

またそれ以外にも、昔に作った曲のコード進行を忘れていたとしても「C → Am」というメモがあればそのコード進行を楽器で演奏して再現することができます。

これが「コード譜を読んで演奏する」ということです。

つまり「コード譜」はそのルールに従って記録しておけば音楽を再現できるもので、その名の通り「楽譜」の一種であると言えます。

理論学習のためにもコード譜は必要

ここで冒頭のテーマに戻ると、「作曲をやるために楽譜は読めた方がいい?」と問われれば、楽譜は楽譜でも「五線譜」は重要ではなくて「コード譜」を読み書きする力が必要になる、という答えとなります。

この「コード譜」を読む力は前述の通り「楽器で再現する」という意味以外にも、曲を理論的な側面から解釈する場合に必要となります。

コードネームを使って音楽を表記し記録していく手法は1900年代初頭に、現代のジャズの元祖と呼ばれる人たちによって考案されたと言われています。

その後、そのコードネームはジャズ理論を経てポピュラー音楽の理論にもなり、現代に受け継がれています。

作曲を学習する中で、「コード理論」を学ぶ際に「コード譜が読める」という技能は必須です。

コード譜を読み解くことができて、初めて前後のコードの関係やコード間の音の変化を理論的に解釈することができます。

同様に、既存の曲をコード理論的な側面から分析する場合にも「コード譜が読める」という技能は欠かせません。

五線譜も決して無駄ではない

音の細かい動きを記録できる

ここで「五線譜」について少しだけご紹介しておくと、もちろん「五線譜が読める・書ける」という技能も無駄ではありません。

五線譜はコードを含むすべての音楽を記録できるものです。

それはコード譜以上に「音の動きをより詳細に記録できるツール」であると言えます。

例えばピアノを使ってコードを弾きながら作曲をしているとします。

そこで前述の「Am」において「『ラ・ド・ミ』ではなく『ド・ミ・ラ』と押さえよう!」というアイディアを思いついた場合、それを五線譜に書き表して記録して行くことができるのです。

編曲に直結する作曲において重宝する

五線譜と違って、コード譜においてはどんな順番で音を重ねていても「Am」は「Am」のままです。

※この例では、例えば注意書きとして「『ド・ミ・ラ』と押さえる!」と付け加えておくことはできます。

それが五線譜であればルールに従えば表記できてしまうのです。

もっと細かい音の動きなども記録できます。「『ド・ミ・ラ』と押さえた後に『ラドラド~』と弾く!」なども記録可能です。

そういった意味から、五線譜はより編曲向けの表記方法であると言えます。

作曲が編曲に直結するようなジャンル(例えばクラシックなど)の音楽を作る場合には、五線譜が記録の為に重宝するはずです。

まとめ

ここまで「楽譜の必要性」について解説しました。

作曲初心者の時点では「あれもこれもやらなければならない」と、「作曲」という作業がものすごく大変なものに思えてしまいがちです。

それでも「五線譜はとりあえず無くても大丈夫」ということがわかるだけでも安心できるのではないでしょうか。

でもコード譜は必要です。ここだけは頑張りましょう(笑)。